東京大学政策評価研究教育センター

論文プレビュー:東日本大震災の経験は人々の「リスク」に対する考え方をどう変えたか?


論文:Chie Hanaoka, Hitoshi Shigeoka and Yasutora Watanabe (2018) "Do Risk Preference Change? Evidence from the Great East Japan Earthquake," American Economic Journal: Applied Economics, 10(2): 298-330.
著者:花岡智恵(東洋大学)・重岡仁(サイモンフレーザー大学)・渡辺安虎(東京大学)


画像提供:にこまる / PIXTA(ピクスタ)

目 次
イントロダクション:「好み」は変わる? 変わらない?
個人を追跡調査したパネルデータで、ショック前後の変化に迫る
地域の震度ごとに震災前後の比較から影響を解明する
震災は男女のリスク選好にどんな影響を残したか?
ショック後のリスクを伴う行動の増加に注意

イントロダクション:「好み」は変わる? 変わらない?

冒頭からやや唐突だが、人々の好みや嗜好などについて、経済学では「選好」(preference)という業界用語を用いて議論が展開されてきた。ただし「好み」といっても、「カフェで飲むならラテよりもカプチーノの方が好き」などといった単なる商品の好みを超えた幅広い対象を含んでいる。

たとえば、「失敗の可能性が高いが大成功の可能性もあるビジネスにチャレンジしたいか、まず失敗しないだろうが儲けの少ない安全策がよいか」といった好みや、「将来を考えて今日の出費を控えるか、今日を楽しむことを優先してバンバンお金を使うか」といった好みも選好に含まれる。特に前者は「リスク選好」、後者は「時間選好」と呼ばれる。さらに、他人のことをどの程度気にかけて行動するか(利他性、不平等回避)、他人への信頼性、相手からの親切にきちんとお返したいかどうか(互恵性)など、他人の状態や行動が自分の満足度にどう影響するかを表す「社会的選好」と呼ばれるものも含まれる。このように、経済学の業界で用いられる「選好」という言葉には、日常用語の「好み」という言葉から連想されるイメージよりもかなり広い意味合いが含まれる。

選好は、人々の社会・経済的な意思決定を左右する重要な要素の1つである。たとえば、自分のお金を定期預金に入れておくか、株を買ってより大きなリターンをねらうかなどの個人的な投資選択や、将来のためにどの程度貯蓄するかなどの意思決定は、いかにもリスク選好や時間選好と関係しそうだ。加えて、OSの新バージョンが発表されてすぐに自分のスマホをアップデートするか否かという選択や、新しくビジネスを始めるためにチャンスのありそうな場所へ移るか否かといった選択もリスクを伴うものであり、リスク選好の度合いが意思決定を左右する。つまり、選好は人々の意思決定や経済行動とも深く関係しているのである。

長々と前置きをしたのは、「伝統的な経済学の理論においては、このような個人の選好は時間を通じて一定であると仮定されてきた」という話から、本稿で紹介する論文Hanaoka, Shigeoka and Watanabe (2018) の紹介を始めたかったからである。この仮定のもとでは、人々の経済的な意思決定を変化させる要因は、人々の選好の変化ではなく市場の商品・サービス価格の変化や人々の所得等の制約条件の変化にあると考えられ、それに基づいて経済的意思決定の理論が構築されてきた。つまり、選好は経済的意思決定を左右する要素の1つではあるものの、人々の商品・サービス等に対する好み、リスキーな選択を許容するかしないか、将来と現在のどちらをより重視するか、などといった特性は、伝統的な理論では時間を通じて安定的だと仮定されてきたのである(Stigler, G. J. and G. S. Becker "De Gustibus Non Est Disputandum," American Economic Review, 67(2): 76-90, 1997)。

しかし、リスク選好や時間選好、社会的選好などは、個人差があって性格を特徴づける要素であるものの、「時間を通じて変わらない」という上記の仮定は、はたして現実的なのだろうか。たとえば、「スポーツバイクでサイクリングをするのが大好きだったけれども、あるとき転倒して大怪我をして以来怖くて乗れなくなってしまった」、あるいは「以前は競馬が大好きだったけれども、応援していた競争馬がレース中の事故で死んでしまって以来、他のギャンブルも含めてまったくやる気が起きなくなってしまった」などという変化が生じる可能性はないだろうか。

実は、近年の経済学の実証研究では、こうした直観と整合的な結果が多数報告されている。地震、津波、台風、豪雨などの自然災害や深刻な金融危機、紛争等に起因する暴力などといったネガティブなショックに直面したことをきっかけに、人々の選好が変化したという分析結果が数多く提示されているのである(Chuang, Y. and L. Schechter "Stability of Experimental and Survey Measures of Risk, Time, and Social Preferences: A Review and Some New Results," Journal of Development Economics, 117: 151-170, 2015)。ただし、選好が変化しうることが実証的に明らかにされてきた一方で、どんな影響を受けるのか(たとえば、ショックの後でリスクを許容するようになるのか嫌うようになるのか)については、それぞれの研究で異なる結果が示されており、まだ整合的なパターンや法則は明らかになっていない。目に見えない人々の選好の測定方法が研究ごとに整合的でない、あるいは各地の自然災害や紛争などの個別の特殊的事情が強く影響するために、ある事象で得られた結果が別の事象では当てはまらないのかもしれない。また、金融実務家や投資家など、特定のカテゴリの人々だけを調査対象とした研究や、限られた人数の被験者を実験室に集めてリスク選好を測定して実施された実験研究が多いことが、相互に整合的な結果が見られない原因となっている可能性もある。したがって、ネガティブなショックがどのような影響を人々の選好に及ぼすかについては、まだまだ明らかになっていない部分の多い、経済学研究のフロンティアの1つである。

本稿で紹介する論文Hanaoka, Shigeoka and Watanabe (2018) は、そのフロンティアに挑戦した研究であり、2011年3月に発生した東日本大震災の前後で人々の選好が変化したか否か、したとすればどのような変化が見られたかを分析している。そこでは、大阪大学社会経済研究所が全国規模で継続的に実施してきた調査に基づくデータを用いている。分析では、震災でより激しい揺れを経験した男性は、その翌年からよりリスクを許容する方向に選好が変化し、その変化は地震後約5年経っても残存していたことが明らかとなった。さらに人々の行動面の変化も確認してみると、そうした男性は震災前と比べてギャンブル(宝くじ、競馬、スロットマシーン等)をより高頻度で行うようになっており、リスク選好の変化と整合的な結果が見られた。以下では、本論文で用いられたデータと分析上の工夫、主要な分析結果、政策的な示唆と今後の展望について、簡単に紹介する。

個人を追跡調査したパネルデータで、ショック前後の変化に迫る

本論文では、上述の調査「くらしの好みと満足度についてアンケート」から構築されたパネルデータが用いられている(以下、阪大パネル)。この調査は、2003~13年の1~2月に毎年実施された。同調査は、数千人規模の満20~69歳の男女個人を対象に行われてきた(より詳しい調査概要は「背景:「災害の経験」の影響をデータで読み解く」参照)。これに基づくデータを使うことで、ある特定の職業や地域に住む人に限られることなく、性別・年齢等も含めて日本全体を代表する集団を対象に分析を行うことができる。特に、リスク選好はもともと男女で異なることが先行研究で明らかにされているが、このデータを用いれば男女を区別した詳細な分析も可能となる。

東日本大震災の発生は2011年3月である。阪大パネルの調査実施は毎年1~2月なので、2011年の記録は震災の直前の調査によるデータである。リスク選好の変化を検証するためには震災の後のデータも必要だが、これは震災約1年後の2012年1~2月に収集されたデータを用いる。さらに幸運なことに、同調査は2013年で一度終了したものの、2016年1~2月に再び実施された(ただし予算削減のため、調査対象の規模はもとの80%程度)。この追加調査のデータを使えば、震災から約5年経過した時点で人々のリスク選好に対する影響がどの程度残っているかも確認できる。つまり震災直前に対して、1年後の短期的な影響、さらに5年後の長期的な影響を確認できるという、非常に恵まれた環境での分析が可能となっているのである。これは、先行研究に対する本論文の大きなアドバンテージの1つである。

次に、震災の影響の強弱をどのように捉えたかを紹介する。この点は、阪大パネルに記録されている調査対象者の居住地域(市町村)ごとの「震度」を用いる。地震の影響を示すものとして震央からの距離や地震エネルギー(マグニチュードなど)の強さなども考えられるが、それでは同じ距離や強さでも地質構造等の違いで実際の揺れが異なる可能性があるため、人々が経験した揺れを示す指標としては適切ではない。一方、震度は、まさにその地域の揺れの強さを示す指標であり、人々が知覚する災害の影響を示すものとして望ましい。

東日本大震災は大地震に加えて、津波被害による死傷者の多さや福島第一原子力発電所の事故による放射線被害が併発したことも特徴である。これらの影響も重要であり多大な影響を及ぼしたことは間違いないが、これらの被害は東北地方の太平洋側沿岸部や原発付近など特定の地域に特に集中していたため、本論文ではより包括的に影響を見ることのできる震度をメインに扱うこととした。ただし論文では、震度に加えてこれら2つの影響を考慮した分析も行われている。そして、上記2つの影響を考慮に入れても、震度がリスク選好に与える影響には変化がなかったことが確認されている。

さて、本研究の関心事である人々のリスク選好は、次のように測定された。阪大パネルでは「50%の確率で10万円が当たるスピードくじ」をいくらなら買うか(支払意思額)、という質問項目に基づいて、リスク選好が調査されている。こんな質問でリスクに対する人々の態度がわかるのかと思われるかもしれないが、これは、経済学の実験研究やサーベイ調査研究など多くの先行研究で用いられ、確立されてきた標準的な質問スタイルなので、心配は無用だ。

質問紙では、図1のように10円から5万円までの8つの価格が示されており、それぞれで買うか買わないかを選択する。50%の確率で賞金が0円か10万円になるので、このくじの平均的な価値を示す期待値(当選確率×賞金)は5万円である。「50%の確率で0円か10万円」という部分がこのくじのリスクに当たり、これをいくらで評価するかを問うことで、人々のリスク選好を測定する。評価額が高ければよりリスクを許容し、低ければよりリスクを避けようとする特性を持つ、ということである。

図1 阪大パネルのリスク選好を問う質問

(出所)大阪大学社会経済研究所ホームページ「『くらしの好みと満足度についてのアンケート』調査概要・調査票」(2011年調査票「日本」)より。


本論文では、この質問に対する各回答者の結果を「1ー支払意思額/くじの期待値」という形の金額単位に計算して分析を行った(論文ではもう1つ、絶対的リスク回避度と呼ばれる指標を用いた分析も行っている)。この測定方法の利点は、リスク選好を、「リスクに対する認知」(risk perception)と明確に区別して捉えることができる点である。たとえば、ある地域で大地震が起きた後、そこから引っ越した理由として、「危険な思いをしてより地震リスクを避けたくなったから」というのがリスク選好の変化で、「その地域の大地震発生リスクが高まったと感じたから」というのがリスク認知の変化である。この質問では、くじの賞金と当選確率を一定としたうえで、どの程度リスクを許容するかを震災前後で尋ねているため、リスク認知の変化の影響を受けることなく、リスク選好の変化を捉えることができる。

地域の震度ごとに震災前後の比較から影響を解明する

本論文の分析方法は、基本的には「差の差(difference in difference: DID)推定」と呼ばれるアイデアに基づいている。これの分析枠組みは、たとえば2つの集団を考えて、片方だけがあるタイミングで何らかのショックを受けた場合に、両方の集団のショック前後の変化の差をデータで比較する、という方法である。ショックを受けた集団は「処置群」、受けなかった集団は「対照群」と呼ばれる。ショックが加わる前の2つの集団が同じような特徴を持っているとすると、異なるのはショックの有無だけである。そのため、各集団のショックの前後の変化を見て、その変化が集団間でどの程度異なるかに注目することで、あるショックに起因する変化を正確に捉えることができる。分析枠組みは、「ショックの前後」と「集団間」の2軸で差を取ることから、「差の差」と呼ばれている。

上述の通り、ここでは震災のショックを震度で捉えている(震度の計測については、気象庁ホームページを参照)。震度は0~7で計測されるので、DIDの枠組みで考えると震度1~7であった地域が処置群、震度0であった地域を対照群として、震災前後の集団間の比較を行うことになる。震度1~7という形で段階的に捉えられるため、ショックの強さに対する人々の反応の程度の違いも分析することができる。

加えて、阪神・淡路大震災のメンタルヘルスへの影響を分析した先行研究では、震度4を超えるか否かで影響に大きな差があったことが示されている(Maruyama, S., Y.-S. Kwon, and K. Morimoto, "Seismic Intensity and Mental Stress after the Great Hanshin-Awaji Earthquake," Environmental Health and Preventive Medicine, 6(3): 165-169, 2001)。つまり、震度1~7で段階的にきれいに反応の程度が変わるわけではなく、震度4を境に強さがジャンプするように変化することが知られているのである。本論文では、この点の影響も考慮に入れた計量モデルで分析がなされている。

なお、より詳細には、固定効果モデルと呼ばれる推定手法によって、時間を通じて変化しない調査対象者の特性を取り除き、就業状態などの時間を通じて変化する個人の属性がリスク選好の変化に与える影響も制御したうえで、震度がどのような影響を与えたかを、2011年の震災直前と約1年後の2012年の変化、および約5年後の2016年の変化について検証している(より詳しい分析手順については本論文を参照)。 。

震災は男女のリスク選好にどんな影響を残したか?

DIDの枠組みで分析を実施するためには、処置群と対照群の間に「共通トレンド」の仮定が成り立っていることが必要となる。主要な結果の前に、まずこの点について説明しておこう。共通トレンドとは、処置群と対照群の間で研究の対象となる変数の推移が、ショックがない場合には同様のパターンを持っているということである。上記のようにDIDの本質は、ショックの有無以外は同様の推移をたどるはずの複数の集団について研究上関心のある変数(ここではリスク回避度)をショックの前後で比較し、ショックの影響を浮き彫りにしようというものだが、ここでは特に、分析の対象となる集団が「ショックの有無以外は同じように推移する性質を持っている」という点がポイントとなる。

本分析ではこの点を確認するために、東日本大震災で経験した震度ごとの集団に着目して、「震災前」の2009年と2011年の1~2月のデータを用いて、この2時点でのリスク選好の変化を確認した。この2時点でのリスク選好の変化に集団ごとの差がなければ、共通トレンドの仮定は満たされていると考えられる。ここで、図2の左側の上段のグラフは男性、下段は女性のリスク選好の変化を示している。横軸は0~6で震度が示されており、縦軸はリスク回避度の変化が示されている。縦軸は数値がプラスに大きいほどリスクを避けるように、マイナスに大きいほどリスクを許容するようになったことを示している。これを見ると、男女ともにどの震度を見ても震災前の2時点のリスク選好の変化はほぼ0に集中しているため、集団でも共通のトレンドを持っていることが確認できた。

図2 震度とリスク回避度の変化

(注) 左は震災以前の2時点のリスク回避度の変化、中央は震災直前から1年後の変化、右側は震災直前と約5年後の変化。数値がマイナス方向に大きいほどリスクを許容するようになったことを示す。
(出所)Hanaoka, Shigeoka and Watanabe (2018) より作成。


次に、震災前後のリスク選好の変化について、1年後の短期的な影響と5年後の長期的な影響に分けて見ていこう。本論文では、男女ごとにリスク選好の変化が検証されている。これは先述の通り、リスク選好が男女で異なるということが先行研究で示されており、この点を踏まえた分析を行うためである。

まずは短期の影響として2011年と2012年の1~2月の2時点での変化に着目する(図2中央の2つのグラフ)。これを見ると、男性は震度4を超えて強くなるほどリスクをより許容する方向に変化したことがわかる一方で、女性は震度4を超えるとわずかにリスクを回避したいと思う方向に変化したことがわかった(ただし男性ほど明確な変化ではなかった)。なお、震災前の平均的なリスク回避度は男性0.737、女性0.869であり、もともと女性の方がリスク回避的な特性を持っていた。この点は、女性の方が相対的にリスク回避的だという先行研究の結果とも整合的である。一方、先行研究ではショックによる変化の大きさや方向(より回避的になるか、許容するようになるか)については明確な結果が示されていない。本論文は、この点をデータに基づいて明らかにした。

次に長期的な影響として、2011年と2016年の1~2月の2時点に着目した。この5年後分析の結果を見ると、上記の短期的な影響で見られた震災による変化が強さもほぼ変わらず残存していたことが確認された(図2右側の2つのグラフ)。なおグラフでは、中央の1年後の変化に比べて右側の5年後の変化の方が変化の程度がより強くなっているように見えるが、この差は統計的に有意ではなかったので注意が必要である。

ショック後のリスクを伴う行動の増加に注意

本論文の結果から、まず震災のようなネガティブなショックの影響は、1年後という短期のみならず5年後という長期で見てもほぼ残存していたことから、根本的に人々のリスク選好を変えてしまう可能性がある、という示唆が得られた。リスク選好はくじの選択だけでなく、消費、貯蓄、投資、新技術の受容など、人々のリスクを伴う経済行動の選択にも大きな影響を及ぼす。阪大パネルではリスクを伴う行動として、ギャンブル(宝くじ、競馬、スロットマシーン等)をどの程度の頻度で行うかを尋ねた質問がある。そこで、これを利用して行動の変化を確認したところ、ギャンブルを高頻度で行う人が増えており、リスク選好の変化と整合的な結果が得られた。

災害後には義捐金や物資面での支援に加えて被災者の心のケアによる支援なども実施されるが、本結果はショックの心理的な影響の一面を捉えたものと言える。特に、男性がリスクをより許容するようになり、ギャンブル等に傾注してしまう可能性もふまえたケアが必要と考えられる。さらに、ショックの影響が長期間残存しうる点にも注意が必要だ。

先進国・途上国の区別なく自然災害の影響は大きい。従来の災害後の選好変化など人々の心理的側面に関する先行研究では、途上国を対象とした調査・研究が多く、先進国におけるショックの影響を検証した研究は少ない。本論文は、先進国の1つである日本における自然災害の影響を確認したものであり、この点も重要な貢献だと言える。

ただし本論文では、リスクを伴う経済行動としてギャンブル、飲酒、喫煙の頻度のみに着目している。そのため、金融投資等の多様な行動についての分析がなされることが重要である。加えて、データの制約から長期効果も5年後の分析までであり、「どの程度の期間にわたって残存するのか」については、今後の研究で明らかにされていくべきポイントである。加えて、本論文の分析では震災がどのような心理的な変化を通じてリスク選好が変化したのかという潜在的な構造を明らかにすることはできていない。心理学の研究では恐怖や怒りを覚えるようなショックを受けた後でリスク選好が変化し、その影響は男女によって異なるという結果が実験室での実験に基づく研究で報告されている。本論文でも阪大パネルに含まれるストレスや憂鬱、睡眠障害に関する質問への回答結果を用いた分析もなされているが、詳細に変化のメカニズムを明らかにするためにはさらなる研究が必要だ。

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CREPEフロンティアレポートシリーズはCREPE編集部が論文の著者へのインタビューをもとにまとめたものです。