東京大学政策評価研究教育センター

CREPEDP-101

Number CREPEDP-101
Publication Date May 2021
Title 毎月勤労統計の不適切調査・計数処理を巡るその後の展開―再生に向けた取り組みと今後の課題―
Author 西村淸彦、肥後雅博
Abstract 2018 年末、「毎月勤労統計」における不適切な調査や計数処理の問題が明らか になった。統計関係者のみならず、統計ユーザー、政治家、マスコミなど様々な ステークホルダーから厳しい批判を受け、「毎月勤労統計」にとどまらず、公的 統計全体に対する信頼が損なわれる深刻な事態となった。 本稿では、「問題」発覚を受けて、統計委員会と厚生労働省の 手によって進め られている「毎月勤労統計」の再生に向けた取り組みについて、中間的な総括を 行う。➀東京都の大規模事業所における全数調査への復帰、②適切な復元処理に 基づく賃金データの遡及推計、の2つの点については、関係者の努力により課題 は達成されたが、③中規模・小規模事業所における精度向上は道半ばであり、当 面の課題として重要である。 さらに、「毎月勤労統計」の精度向上を図り、統計の持続可能性を高めるには、 今後、2つのより大きな課題にも取り組む必要がある。ここでは、④復元推計に 用いる母集団労働者数における速報値の 精度向上と確定値反映タイミングの早 期化、⑤調査票回収率の低下に歯止めをかけることを目的とする調査方法の抜 本的見直し―「企業」別の調査への移行―、について取り上げる。
Keywords 毎月勤労統計、 復元推計、抽出率逆数、比推定、全数調査、標本調査、 ローテーション・サンプリング、標本誤差、非標本誤差、 サバイバル・バイアス、 回収率、 事業所別調査、企業別調査
Other information Paper in Japanese (18 pages)