CREPEFR-6 保育所拡充の就業支援が効果的なのはどんな家庭の母親か?
山口慎太郎(東京大学)・朝井友紀子(東京大学)・神林龍(一橋大学)
画像提供:makaron* / PIXTA(ピクスタ)
Executive Summary
Findings(主な結果)
図 母親の学歴別に見た保育所の就業促進効果:4大卒と比べた効果(単位:%ポイント)

(出所) Yamaguchi, Asai and Kambayashi (2018a) より作成。
(1) 保育所利用の拡充がもたらす効果は、家計の経済状態や家庭環境、両親の就業状態など、個別に直面する状況に応じて異なるため、その点を考慮することが重要だ。
(2) より幼い子どもを持つ家庭の方が、保育所整備による母親就業率の向上効果が大きい。
(3) 母親が4大卒の場合と比べ、高卒・短大卒の場合の方が保育所の就業促進効果が高い(図)。なお、高卒未満の母親の場合は統計的に確かな効果は見られない。
(4) 調査時点でまだ保育所を利用していない家庭の方が、その時点ですでに利用している家庭よりも母親の就業促進効果が大きい。
(5) さらに、より経済的に恵まれない家庭の方が、保育所利用の効果が大きいことを確認した。
(6) 一方、現行の保育所入所選考基準のもとでは、両親がフルタイムで正社員として働いている場合など、経済的に恵まれた家庭の子どもが優先されることが高いことを指摘している。
Interpretation(解釈、示唆)
Methods & Data(分析方法とデータ)
背 景
論文プレビュー
保育所拡充の就業支援が効果的なのはどんな家庭の母親か?論文へのリンク
Shintaro Yamaguchi, Yukiko Asai and Ryo Kambayashi (2018a), "Effects of Subsidized Childcare on Mothers’ Labor Supply under a Rationing Mechanism," Labour Economics, 55: Pages 1-17.記事作成:尾崎大輔(日本評論社)