東京大学政策評価研究教育センター

CREPEDP-113

Number CREPEDP-113
Publication Date November 2021
Title 「コロナ禍における家計の消費行動: 巣ごもり需要と買いだめ行動」
Author 肥後雅博・川西建・小川大貴・中野暁
Abstract コロナ禍では、 消費の大幅な落ち込みが経済悪化の主たる要因となっている。もっとも、商品別では消費に大きなばらつきがあり、需要が増加した商品も少なくない。本研究では、消費者のスキャナー購買データを用いて、 食品等生活必需品の需要を増加させる要因となっていた巣ごもり需要と買いだめ行動が、消費者の属性や地域によってどのように異なっていたかに焦点を当てる。分析の結果、食品やアルコール飲料については、20代~40代の若年層や家族人員が多く、子供がいる消費者の購入金額の伸びが大きく、高齢者層の伸びを上回っていることが分かった。巣ごもり需要が、緊急事態宣言に伴う在宅勤務や学校の休校措置の影響を強く受けていたことを示している。また、感染リスクの高まりに対応した買いだめ行動は、マスクとトイレットペーパーで顕著である。いずれも、新型コロナ感染に対する警戒心(恐怖心)が強い60代を中心に高齢者層で購入金額の伸びが大きい。 トイレットペーパーでは、実需増加の裏付けがなかったにもかかわらず、感染の恐怖心に伴う不安心理の高まりが、デマを通じてパニック的な買いだめを助長した可能性がある。
Other information Paper in Japanese (34 pages)