東京大学政策評価研究教育センター

CREPEDP-110

Number CREPEDP-110
Publication Date September 2021
Title 我が国減債基金制度の変遷-国債整理基金特別会計と60年償還ルール-
Author 杉本健輔、服部 孝洋
Abstract 本稿の目的は、 債務残高が 増大する中で重要性を増している我が国の国債償還ルールへの理解を歴史的な観点で深めることにある。そもそも我が国の減債制度は、日露戦争時に外債に依存する中で、海外投資家に対して償還の確実性を説得するために設立した経緯がある。本稿では、日露戦争に端を発した 減債 制度がどのような経緯で現在の形に至ったかについて、1967年 度 に確立した現行の減債制度の沿革やその内容も含めて解説を行う。日露戦争の戦費償還のために確立された我が国減債制度は、まずは債務 残高の一定割合(額 を 国債整理 基金に繰り入れる方法(定率繰入 が導入された後、決算で生じた剰余金を 繰り入れる方法(剰余金繰入 が追加された。戦時中には基金への繰入が停止されたものの、戦後の財政法の確立とともに一部 修正された後、1967年度の改正で現在の減債制度が確立した。現在の減債制度では、定率繰入だけでは償還財源が不足する制度になっており、その不足分は 剰余金 繰入等で補完することが想定されているが、1967年度の改正では そもそも減債基金が必要かどうかについてから議論がなされている。同改正では、まず減債基金の必要性を認めたうえで、歴史的に定率繰入、剰余金 繰入、予算繰入と順に導入されてきた減債繰入を整理しなおした。その際、インフラの効用発揮期間を独自に試算し、推定された60年間で国債を現金 償還していくルール、いわゆる60年償還ルールを確立した点が大きな特徴である。
Other information Paper in Japanese (31 pages)